幼馴染みの期限

***

「美桜(みお)お待たせー」


「もー、樹里探したよ。……また呼び出されてたんでしょ」


「うん。でも今日は15分で済んだから。あ、たぶんもうあんまり呼び出されないと思うよ」



真美ちゃんや美咲ちゃんに呼び出されている事も、二人に悪者にされた事も、今までの事は全て目の前の親友は知っている。

『あたしが一言言ってやろうか?!』と言ってくれた美桜を、黙って聞いてさえいれば何もされないから大丈夫、と断ってからは、こうしていつも待ってくれている。


この何日間、目的の分からない呼び出しに神経をすり減らしていたけど、今日で少なくとも二人の役目は分かった。


「何で呼び出されないって分かんの?!」


美桜が詰め寄ってくる。


「もー、樹里は人が良すぎ!広海のせいでこんな事になってるんだから、文句言ったっていいんだよ!!いや、文句じゃ足りないね!殴れ、殴れ!!」


ずいぶん乱暴な話だけど、自分の事のように私を心配してくれている美桜の優しさに思わず笑顔が溢れた。



梨華さん達と真美ちゃん、美咲ちゃんが繋がっていたことが今日分かった。


梨華さんに『広海に近づかないで』と言われたことで、たぶんこれからは二人に呼び出されることも少なくなるはず。そう考えたら心の底からホッとしていた。


「あはは。大丈夫だよ。なんかされたワケじゃないし。でもビックリしたよー。さっきもさぁ、放送室に行くかと思ったらねー……」


そして私は、今日の呼び出しの結果を美桜に追加で報告をした。
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