幼馴染みの期限

「な……んで、ここにいる……の?」


それだけをようやく口から絞り出した。


「私が呼んだの。じゅりっちこのままだと潰れちゃいそうだったし、ろみっちに連絡取ってみたら近くで飲んでるって返信来たからさ」


……しまった。


動揺した気持ちを落ち着かせようと、先にトイレに駆け込んだことを今更後悔した。


才加は呼ばないでと宏美さんには伝えていたけど、広海に連絡をしないでとは言っていなかった。


「ったく、こんなになるまで飲みやがって。ほんと、お前は酒癖悪いな」



私が思うように声が出せないのを、広海は酔っていると勘違いしたらしい。


「……っ、やだ!」


ほら、と身体を支えようと広海が伸ばして来たその手を、私は咄嗟に撥ね除けてしまった。



「……どうした?」


広海が戸惑ったような表情で聞いてくる。


無理もない。


……たぶん、私は今酷く醜い顔をしている。

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