幼馴染みの期限

「ごめん……私、間違えちゃったんだね」


「……何だよ、それ。何を間違えたんだよ」



「全部だよ」



「今こうして一緒にいることも、同じ仕事を選んだことも、二人だけの『幼馴染み』になったことも、広海を好きな人達を傷つけたことも、私が好きだった人を傷つけたことも。……全部間違いだった」



私の言葉を聞いた広海は、その整った顔を悲しげに歪ませた。


罪悪感に胸がチクン、と痛む。


後悔して欲しくない。


広海は何も間違ってない。


私が……間違えてしまっただけなんだから。



「だから、これからは好きなように生きて」


『私じゃなくて、好きな人と一緒にいて』


そう言葉を続けたかったのに、喉に張りついたように言葉が出て来ない。



「広海。今までごめんね……ありがとう」


それだけ言うと私は深々と頭を下げた。


これは懺悔だから。


あなたの10年を奪って、大切なもう一人の幼馴染みを傷つけた私の罪。


それでも、本当に嫌われる前に私から離れたい。


勝手な私を許して。
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