陰なる閃刃
くる日もくる日も、藤吉たちが師範に叩き込まれたのは、殺人(せつにん)の剣法であった。

柳生新陰流における殺人刀は、自分が先に動き、スピードとパワーで敵をねじ伏せる。

これに対して、活人剣と呼ばれる剣法が新陰流には存在するのだが、藤吉たちがそれを学ぶことはなかった。

宗矩は、ただ殺人の剣を極めし者たちを、人知れず養成していた。

いったい、何のために?


藤吉が、話の核心に触れる。


「あっしらは宗矩様の命令により、将軍様や柳生にとって邪魔なる者共を始末してきました」


彼らは、将軍家や柳生を脅かす者、災いをもたらす輩を、誰にも感づかれることなく葬ってきたのだ。

時間をかけて戦うことは、ほとんどなかった。

先手必勝を地で行き、相手を素早く仕留め、「柳生」だと判る証拠を残さない。

彼らには、短時間での仕事が要求されたのだ。


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