陰なる閃刃
小屋の入り口の右横にまわり、板壁を背にして様子をうかがう。

小屋の中ほどまで足を進ませたとき、少なくとも三人の男たちがいるのを、話し声から察することができた。

壁伝いに、入り口からもっと奥へ離れるように移動する。

小屋の奥の方は、捕らわれた娘たちがいるようだ。

板の壁はざっとした作りで、所々に小さな隙間がある。

伊助は、その隙間からそっと中を覗く。

おなじ年頃の娘たちが、怯えた顔をしながら一ヵ所に固まって座っている。

伊助は人数を数える。

(一、二、三…)

いま、連れてきたばかりの女子を入れると、四人だ。

男たちは何人いるのか?

伊助はさらに足を進ませ、小屋を左へ回りこむ。

入り口からもっとも遠い位置に来る。

さっきとおなじように、板壁の隙間から部屋の中をうかがうと、立っている男たちの姿が目にうつる。

人数は四人、みんなが刀を持っていた。


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