陰なる閃刃
男のひとりが、ニヤリといやらしい笑みを浮かべた。


「身体に傷をつけなきゃ、いいんじゃねえか?」

「それなら、俺たちが先にあずかっても、わかりゃしめえ」


男たちが立ち上がる。

娘たちはビクッと顔を引きつらせ、行き場のない部屋の隅に身体を押しつける。

これからどういうことが起こるか想像がついた彼女たちだが、まったくなすすべがない。


男どもが近づいてくる。

娘たちの恐怖が極限に達する。

しかし、事の流れは行き着くところに行かず、急激に遮られた。

突然、ドガッと小屋の右壁が蹴破られる。

キャーッという女子の悲鳴が、男たちの耳をつんざく。

小屋の中に、刀を腰に差した一介の剣士が、のっそりと入ってくる。

男どもと女子たちの間にいる彼は、ぐるっと部屋のなかを見まわすと、おもむろに口を開いた。


「なかなか広いのう」


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