陰なる閃刃
とりあえず、顔と手足をきれいにした二人だが、この場所から動けない。
どうしようかと思っていると、新山が林のなかからひょっこりと姿をあらわす。
出かけるまえに、利巌に呼ばれた新山だけは悪党討伐に加担せず、別の用事をこなしていた。
虎之助が、いま来たばかりの新山に声をかける。
「どうした、新山。そっちの用事は終わったのか」
「利巌様から頼まれました」
こちらへ向かってくる新山は、右手に風呂敷包みをもっている。
新山が虎之助たちの前で足を止めて風呂敷をひろげると、中には着物が二つ入っていた。
十兵衛と虎之助の目が点になる。
利巌には「尾張がどんな町なのか、虎之助たちに案内してもらいます」と言って、屋敷を出た十兵衛である。
自分の刀は連也に預けた。
そのとき、連也は眉をよせた。
「本当に、刀をもって行かないのですか」
「うん」
この時代の常識にそぐわない。
どうしようかと思っていると、新山が林のなかからひょっこりと姿をあらわす。
出かけるまえに、利巌に呼ばれた新山だけは悪党討伐に加担せず、別の用事をこなしていた。
虎之助が、いま来たばかりの新山に声をかける。
「どうした、新山。そっちの用事は終わったのか」
「利巌様から頼まれました」
こちらへ向かってくる新山は、右手に風呂敷包みをもっている。
新山が虎之助たちの前で足を止めて風呂敷をひろげると、中には着物が二つ入っていた。
十兵衛と虎之助の目が点になる。
利巌には「尾張がどんな町なのか、虎之助たちに案内してもらいます」と言って、屋敷を出た十兵衛である。
自分の刀は連也に預けた。
そのとき、連也は眉をよせた。
「本当に、刀をもって行かないのですか」
「うん」
この時代の常識にそぐわない。