陰なる閃刃
変な顔をしている連也は、やはり怪訝に思うのだろう。
十兵衛は、それらしい言い訳を考える。
「まあ、別に、なんだ…人を斬りに行くわけではないからな」
そういいつつ、本心は隠す。
(人は斬らねど、悪党どもは斬るけどな)
「伊助の刀でも腰に差して出かけて行く」と、連也に告げた十兵衛であった。
利巌にも連也にも、悪党討伐の話は、ひと言もしていない。
だが、利巌にはすべてお見通しだった。
利巌は、用事が片づいた新山を部屋へ呼ぶと、風呂敷包みを前に差しだす。
「十兵衛は、これがないと帰って来れないかもしれん。渡しに行ってくれぬか」
新山には、風呂敷の中になにが入っているのか分からない。
「一応、虎之助の分も入れてある。まだ足りなければ、知らせにまいれ」
「はっ」
そして新山は風呂敷包みを手に、十兵衛たちのもとへと向かって行ったのだった。
十兵衛は、それらしい言い訳を考える。
「まあ、別に、なんだ…人を斬りに行くわけではないからな」
そういいつつ、本心は隠す。
(人は斬らねど、悪党どもは斬るけどな)
「伊助の刀でも腰に差して出かけて行く」と、連也に告げた十兵衛であった。
利巌にも連也にも、悪党討伐の話は、ひと言もしていない。
だが、利巌にはすべてお見通しだった。
利巌は、用事が片づいた新山を部屋へ呼ぶと、風呂敷包みを前に差しだす。
「十兵衛は、これがないと帰って来れないかもしれん。渡しに行ってくれぬか」
新山には、風呂敷の中になにが入っているのか分からない。
「一応、虎之助の分も入れてある。まだ足りなければ、知らせにまいれ」
「はっ」
そして新山は風呂敷包みを手に、十兵衛たちのもとへと向かって行ったのだった。