これで僕はキミのもの。【ぎじプリ企画】


「嘘つかないで。ほら、こんなに高い」




彼が差し出したのは、体温計。



そこに表示されていたのは〝38.3〟という数字だった。



認めたくなくて計らないでいたのに。



ただでさえ低体温の私。



38℃なんて、辛すぎる。




「こんなに辛いのに仕事に行こうとしていたの?」




「……」




「無理して行っても、ミスをしてしまうかもしれない。仕事がはかどらないかもしれない。なのに…」




そんなことくらい私にだってわかっていた。



自分だけではなく、周りの人に迷惑をかけてしまうかもしれないことくらい。



それでも、彼には会いたくなかったの。




「愛美ちゃんは、何のために僕がいると思ってるの?」



「それは……」


< 3 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop