これで僕はキミのもの。【ぎじプリ企画】
「嘘つかないで。ほら、こんなに高い」
彼が差し出したのは、体温計。
そこに表示されていたのは〝38.3〟という数字だった。
認めたくなくて計らないでいたのに。
ただでさえ低体温の私。
38℃なんて、辛すぎる。
「こんなに辛いのに仕事に行こうとしていたの?」
「……」
「無理して行っても、ミスをしてしまうかもしれない。仕事がはかどらないかもしれない。なのに…」
そんなことくらい私にだってわかっていた。
自分だけではなく、周りの人に迷惑をかけてしまうかもしれないことくらい。
それでも、彼には会いたくなかったの。
「愛美ちゃんは、何のために僕がいると思ってるの?」
「それは……」