身代わり王妃の恋愛録
「おかえり」
陛下にしばらく説教をされた後、店に戻った私と陛下を迎えてくれたのは店長のアリアだった。
もうお客様は店内にはおらず、今日の営業は終わりらしい。店の中には私と陛下とアリアの気配しかない。
「陛下、すみません、少々お時間いただいてもよろしいでしょうか?」
アリアから何かを感じ取ったのか、陛下は小さく頷くと、近くの席に腰を下ろした。
一方私は、嫌な予感しかしない。
アリアは、私を満面の笑みで見た。
はっきり言ってやばい。すごくまずい。
「…ちょっとそこに…お座りなさい」
アリアが自分の目の前の、フローリングを指す。口調と声は優しいけど、目が笑ってない。
逆らいようがない私は、おとなしく本日二回目の正座をした。
「…この…っ!バカァアアアアアアアアア!」
本日二度目の雷が落ちたのはそれからすぐ。
余談だが、説教は二時間にも渡った。