身代わり王妃の恋愛録
「姐さんはすごいね」
無事お城の外に出ると、ソラに真っ先にそう言われた。
「…なんで?」
思わずソラを睨みつけてしまった。当のソラはというと首を横に振って嫌味じゃないことを示している。
「主相手に怯まずあんなことを言える人は他にいないよ。ねえ、この二日間で一体どんな魔法を主にかけたの?」
「魔法?お伽話じゃないんだから。私に魔法何てかけられるわけないでしょ」
「主は俺に言ったんだ。姐さんの行動にあまり制限を設けたくないから自由に行動できるようにサポートしてくれ、姐さんの行動を報告する必要はないからって。それってすごくない?この二日間で主の信用を勝ち得てる」
嬉しそうにそう言うソラに私は少し嬉しくなった。ソラの目から見て、陛下が私を信じてくれているというのは嬉しい。
「それにさっきもすごく良い感じで、俺入っていけなかったもんなー」
「良い感じ?そうかな。そう言うのはよくわからないけど…私は陛下のこと好きだよ?恋愛とかそういんじゃなくてね、なんだかんだ私の意見を聞いて許してくれるところとか、王様っぽくないところとか、面倒見が良いところとか…。陛下と一緒にいると心がぽかぽかするの」
ここまで言ってハッとする。思わず語り過ぎてしまった。恥ずかしい。急いでソラの方を見ればソラはげっそりして恨みがましそうに私を見ていた。
「へいへい。ごちそうさま。砂糖吐きそうだよ。…でも、主を王様っぽくないだなんて言う人、初めてだ」
ソラはそう言って少し笑った。
「優しいよね、主って」
それが嘘偽りない言葉だと、ソラの表情からわかる。
私はなんだかそれがすごく嬉しかった。