(続)病弱女子とお医者様
診察室に入れば、葵結が咳込んでいた。

 『葵結、苦しい?』

優しく声をかけながらさりげなく
シャツをあげて聴診器を入れる。

すると酷い喘鳴が聞こえた。

 『葵結、パパの声聞こえたら
  手を握って?』

すると俺の手を握った葵結。

 『喘息が酷いから、吸入しよう?』

吸入器を口まで持って行き、吸入させる。

結「ヒューケホッケホッ…スーケホッハー…。」

暫く吸入器を当ててあげていたら、
収まったみたいだ。

 『葵結は暫く検査したいから
  入院してもらうからね?』

嫌そうな顔をする葵結。

結「嫌だ。帰る!」

 『最低でも今日は入院してもらうよ。
  熱がなければ明日学校には
  行ってもいいけど…。』

結「わかった。」

 『葵結はいい子だね。』

頭を撫でてやると

結「もう子供じゃない!」

って怒られた。

まぁ俺にとってはまだまだ子供
だから仕方ない。

 『はい、次咲。』

咲「大丈夫だから先に姫華を
  診察してあげてよ。」

 『だめ。だって咲逃げるし…。』

咲「逃げないよ!」

 『嘘、逃げるって顔に書いてある。』

咲「もう…。」

もうと言いたいのはこっちの方だよ。

そんなことを思いながら咲の
診察を始めた。
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