ゾッコン、王子。

みんなの王子サマ

我が会社には、プリンスがいる。


社長も彼に頼りきっているし、部長も彼を信用している。彼を見ない日はないし、彼に会わない日なんてない。


一日、幾度も彼にはたくさんの人々が寄って来ては、具体的なスケジュールを聞いたり、話したりしてとても忙しそうだ。



言わば、会社のアイドル。
甘いマスクをした彼は、人気者。



私は、そんな彼を見て少しため息を付いた。





「ため息なんか付いてどうしたの？君らしくないね。」



私と目が合ったのか、彼は私に気づいてにこにこしながら近寄って来た。




「笑いごとじゃないのよ。私は、明日の取引先とのプレゼンのことがあって、少し緊張しているのよ！」



あなたには・・・人気者のあなたには私の気持ちはわかりっこないわよね？




「強気な君が珍しく緊張してるんだ？大丈夫だよ、ボクは君の頑張りをこの目で一番見てきたからね、明日は絶対、上手く行く！！」


私が、しょぼくれていると、彼は持ち前の明るい笑顔を私に向けてくれる。