【完】最初は、それだけだったのに。


* * *

教室につくと、二つの机を向かい合わせて、いすに座る彼がいた。


「あっ、ごめん!さっさと済ませちゃおっか」




そう言いながら私は彼の前に座った。


わっ、めっちゃ緊張する…。


ずっと見てた人が私の前にいるなんて…。


いや、何かこの言い方は語弊があるね。


ずっと何を見ているのか気になっていた彼が私の目の前にいるなんて。


…この際だから聞いちゃおう!


と、その前に作業しなきゃだね。





「どうやろうか…結構な量だし、手分けしてやらなきゃねー。」


「…じゃあ俺が紙をまとめるから、市岡はホッチキスで留めてって。」


「うん。分かった!」



彼の提案に乗り、作業が始まった。





…のは良いのだが、開始約10分全くとして会話がない。


というか話しかけられない。


少しこわいし、無視されたら私のハートがやられちまう。


いや、でもこのままだと気まずいし、なんか息苦しい…!



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