【完】最初は、それだけだったのに。
* * *
さっきのぬくもり…
なんかとても安心した…
「…んっ…」
重い目をこじ開けると、真っ白な世界が広がっていた。
背中がふかふかしてる…。
あっ、私はベッドに寝ているのか。
記憶がだんだん蘇ってくる。
だったらここはもしかして…
「目、覚ましたのか…?」
いきなり声の主が私をのぞき込む。
予想もしていないことに思わず驚く。
えっ…?
なんでここに…
「青山くん…?」
名前を呼ぶと彼はほっとした様子で私を見る。
「よかった…あっ、ここは保健室な。先生には軽い脳しんとうだって言われたけど、目覚まさなかったらどうしようって思った。」
安堵の声を漏らし、座っている椅子の背もたれに体重をかけた彼の顔は少し余裕を持っていた。