【完】最初は、それだけだったのに。
話を戻そう。
今そんなこと関係ない。
そう思っていると彼は言った。
「自分の好きな人が目の前で倒れたら、運ぶのは当たり前だろ。」
パチクリ
瞬きを何回かする。
そしてそれが理解できたとき、顔を真っ赤にした私が完成した。
え、え、え、ええ…?
青山くんが…私のことを…?
「好、き…?」
「…ああ、好きだ。同じクラスになってお前の笑顔を見た時、惚れた。前の席だったときは結構見てて、どんどん夢中になった。」
今の席だとあまり見れなかったけどな、とつけたした彼は少し口角を上げ、笑った。
ドキドキドキドキ
どんどん心臓が速く動く。
堰を切ったように胸の奥から熱いものが流れ出す。
うまく呼吸ができない。
「夢じゃ、ない…?」
「夢じゃねーよ。」
その言葉を聞き、ポロリ、ポロリ、と涙が出てきた。