【完】最初は、それだけだったのに。
番外編2 文香side
時雨くんと付き合ってから1ヶ月が経ったけど、未だ寒いのに変わりはない。
「…前も言ったけど、あんま男と2人になるなよ。男は皆獣なんだから。」
「あー、大丈夫だよー。私なんかは心配いらないよ!」
いつものように時雨くんと帰っていると、視線を前に向けたままそう言われた。
自然と繋がれている手はギュッと力が少し強くなる。
「なんで市岡はそんなに自分を卑下するんだよ。…とにかく、友人関係に首突っ込む気はないけど、気をつけろよ。分かったか?」
「は、はい…。」
時雨くんは歩いていた足を止め、横から私を覗き込んで、まるで子供を叱るように言った。