【完】最初は、それだけだったのに。
「あんときたまたま合同だったし、いいところ見せれれば市岡、俺のこと見てくれるかなって思ったから。」
「……へっ?!」
時雨くんの突然の発言に、顔がボッと赤くなる。
私の赤くなった顔を見たのか、隣でクスクス笑う時雨くん。
「み、見てました…。とてもかっこよかったで、す。」
顔を隠すように俯きながら言うと、またも時雨くんは歩みを止める。
そして繋いでいた手を離し、その手で私の両頬を掴み、視線を上げさせる。
えっ、ちょっと…!
恥ずかしいのでしゃべろうとするが、掴まれているため上手く口が動かない。
「そんなことを言う奴にはお仕置きだ。」
バチッ
そう言うと、時雨くんは私のおでこにデコピンをした。