【完】最初は、それだけだったのに。
まさかのふたりっきり。
キーンコーンカーンコーン
3時間目の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
私は廊下側の後ろから2番目の自分の席から彼を観察し始めた。
窓側の前から2番目の席に彼の席がある。
彼はいつものようにイヤホンをはめ、スマホを取り出して操作した後、頬杖をつき、外を見た。
これがいつものスタイルだ。
二ヶ月以上観察しているが、全く変わらない。
しっかし、何を見ているんだろう。
運動場にいるひとたちかな?
それとも空?
うーむ、全然分からぬ。
「ふーみーかー!この男の子かっこよくない?!」
いつものように考えていると、雑誌を持った絵麻が私の前の席に座った。
ばん、と広げた雑誌には前と違う男の子が載っていた。
「どう?結構タイプなんだけど!」
「うーん、私前の子の方がこのみかな。」
「あー、文香は爽やか系が好きだもんね。私はやっぱりヒゲが似合う人!色気があるとなお良しだね。」