【完】最初は、それだけだったのに。
絵麻がニヤニヤしながら語り始める。
まぁ、これもいつものこと。
語り始めると止まらない絵麻を放っておいて、私は再び彼の観察を始めた。
全く微動だにしない。
頬杖の体勢って意外ときつくない?
手がつりそうになるし、肘痛いし。
「…文香!あんたって子は私の話を無視して愛しの青山に見惚れてるのかな?」
「だって絵麻の話長いもん。ついていけなーい。それとそんなんじゃないっていつも言ってるでしょ!」
「またまた〜。照れちゃって!」
茶化してくる絵麻にうるさいと言うとチャイムがなった。
するとバイバイと言って絵麻は自分の席に戻って行った。
彼を見ると既にイヤホンはしまっていて、授業を受ける体勢でいた。
授業は真面目に受けているもんなー、と思いながら私は号令に合わせて席を立った。