【完】最初は、それだけだったのに。
「先生ー!私やりたいです!!」
1人の女の子が手を上げる。
するとその子に続いてクラスの大半が手を上げた。
なんでいきなり…って彼目当てか。
無条件でイケメンな彼と話せるチャンスなんて滅多にないもんね。
なるほどなるほど。
ひとり納得していると先生が言った。
「だめだ。お前らみたいな野獣が青山といたら青山が喰われちまう。以上!解散ー。」
何それー!、と言う女子たちになははと笑い先生は教室から出ていった。
えっ、結局私がやるの?
はー、めんどくさい。
でも決まったことだし、やるか!
そう意気込んだ私は彼を見る。
誘った方がいいよね…。
無視されたら嫌だなー。
…よし、市岡!行くんだ!
立ちすくむ彼の後ろから誘う。
「あの…職員室行かない?」
「………ん。」
彼はこちらを向いて短く返事をし、職員室に向かって歩き始めた。
…こ、断られなくてよかった…!