コイのヤマイ



――……薬品の香りで目が覚めた。



パチッと目を開けば、午後の穏やかな気候で揺れるカーテン、白い天井。


えーっと、図書室で先輩を見つけて……それから……あっ!

先輩の悩殺スマイルを思い出し顔に血が上る。




「起きたんですか? 耳まで真っ赤ですけど」

「ゆ、ゆきせんぱい!!」


シャッ、とカーテンが開き、鞄を手にした先輩が姿を現した。


時計を見れば、もうとっくに午後の授業は終わっている時間で、グラウンドからは野球部の掛け声が聞こえてくる。


…あれっ、昼休みに倒れたって事はまさか先輩ずっと此処に!?


さすがにそれはないか。わかるわかる。


「突然八戸〈ハチノヘ〉さんが鼻血を出して倒れたので連れて来ました」


「えええすみません、ありがとうございます!! まさか八戸志帆〈シホ〉の清い身体に触れてくれるのが先輩だとはッ! これは責任を取って結婚と言うこっ」


「はあ……」


「溜め息を吐く先輩もエロいです!」


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