不器用な彼が隠した2文字
『嫌いだって言ってんだろ』
◻︎君の香水とオキシドール
「有紗、パス!」
「はーいっ!」
体育の授業、バレーボールで回されたパスを、思いっきり背伸びして受け取ろうとすると。
「いっ…」
かする程度にしか届かなかった指が、ボールに当たってピキッと痛んだ。
突き指したかも…。
「有紗どうかした?」
「ううん!ちょっと痛かっただけ!」
そう言ってまたバレーボールを再開する。
最近の私は完全に空元気で。
何も考えないようにするために、バレーボールに集中したりして。
キーンコーンカーンコーン…
授業の終わりを告げるチャイムに、1人で保健室に向かった。