不器用な彼が隠した2文字




湿布とか、勝手に借りてもいいかな?



一応、失礼します、と小さく呟いて中に入る。

消毒や湿布、包帯などが並んでいる棚の前に行くと、カーテンの奥のベッドが見えた。





「え…」





白い布団をかけて寝ているのは、きっと…。



そっと、足音を立てないように近付く。

初めて見る朝比奈先輩の寝顔に、どうしたって胸が高鳴った。



まつげ、長いな…。

男なのに、なんでこんなに肌も綺麗なんだろう。



無防備なその寝顔に、思わず手を伸ばす。


ゆっくり触れた髪は、さらりと私の指を通した。



それだけで、胸がぎゅっと締め付けて。

目の奥がじわりと熱くなった。



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