不器用な彼が隠した2文字
「っ……彼女、いるくせに!」
それだけ言って、走って保健室を出る。
しばらく走って、人気のない廊下にしゃがみ込んだ。
「っ…はぁ…」
朝比奈先輩の腕の感触が、まだ残ってる。
腰に回された腕も。
首にかかる吐息も。
……耳元で囁く、声も。
ドキドキしたまま治らない鼓動。
何で、こんなことするの?
私のこと、嫌いなんじゃないの?
嫌いだからって、嫌がらせでこんなことする?
朝比奈先輩は、そんな人じゃない。
だけど今回のは、ひどいよ…。