不器用な彼が隠した2文字
◻︎彼女より特別な人
「ねえ…!」
朝比奈先輩の家から帰ろうとすると、背中から声をかけられて立ち止まる。
振り返ると、そこには朝比奈先輩の彼女…らしき人。
ツヤツヤの黒髪、女の子らしい服、鼻にかかった声。
ドクン、と心臓が跳ねた。
「えっと…何か…?」
「……何で、理生くんの家から出てくるの?」
朝比奈先輩に向ける笑顔とは違って、挑むような視線で睨まれて、思わず目をそらす。
「プリントを、届けに…」
「家まで入る必要あるの?」
私よりも背は小さいはずなのに、威圧感がある。
やっぱり彼女なんだな。
彼女だったら、他の女の子が彼氏の家に入ったら嫌だよね…。