不器用な彼が隠した2文字
「…朝比奈先輩?」
フェンスに身体を預けて目を閉じているのは、黒髪のゆるパーマ。
クラスTシャツである黒のTシャツを、肩までまくっているから、腕の筋肉が強調されている。
そっと屋上に足を踏み入れると、ゆっくり目を開けた朝比奈先輩。
「…何してんの、こんな所で」
「それはこっちの台詞なんですけど…」
「俺はリレーまで寝てんの。
お前、サボりとかするタイプだっけ?」
するタイプじゃ、ないけど。
だけど、冷やかされに戻るくらいなら、ここにいたい。
…ううん、ただ朝比奈先輩といたい。