不器用な彼が隠した2文字
窓の開いたこの資料室と、2人が居る中庭との距離は2メートルもないくらいで。
私は窓から見えないように、机の下にかがんで隠れている。
動いたら見つかってしまうかもしれない。
だからと言って、こんな状況で聞かないことなんてできない!
ごめんなさい、可愛い先輩…。
ていうか、なんて返事するんだろう。
女嫌いらしい朝比奈先輩も、これだけ可愛い女の子だったら落ちてしまったりするんだろうか。
「あー…ごめん」
その言葉に、最低なくらいホッとしてしまった自分がいた。
「今、誰とも付き合う気ないから」
「…そっ、か。
うん、聞いてくれてありがとう」
少し震えた女の先輩の声に、聞いてしまった罪悪感に押し潰される。