不器用な彼が隠した2文字
『そういうところが嫌い』
◻︎ホイップクリームに溶けた幸せ
「連絡先教えてください!」
私のその声は思っていたよりも大きかったみたいで、通学路を歩いているみんなの視線を集めてしまった。
恥ずかしくなって手で口を抑える。
「…声でかいんだけど」
面倒臭そうに私を睨むのは、朝比奈先輩。
「ごめんなさい…」
「教えない」
「えぇっ」
そのまま早足で(足が長いだけで、彼は普通に歩いているだけなのかもしれないけど)、私を置いていく朝比奈先輩。
「何でですかっ!?」
小走りで追いかけて、やっと隣に並ぶ。
何でこんなに足の長さが違うんだろう。
同じ人間なのに。
「お前と連絡とるとかだるそう」
「うっ…」
それはものすごく正論で、何も言えない。