不器用な彼が隠した2文字
「…朝比奈先輩」
外に置いてあったベンチに座って、焼き鳥を食べながら口を開く。
「有紗…って、もういっかい呼んでください」
そう言った瞬間、刺さるような冷たい視線に睨まれる。
「小日向」
「…呼んでくれたっていいじゃないですか」
「っ、あんなの、ナンパ追い払うために呼んだだけに決まってんだろ」
ふい、と顔を背ける朝比奈先輩。
ぶっきらぼうな口調。
これはきっと、照れてる合図だって、最近わかった気がする。
「そうだとしても、私の名前知っててくれて嬉しかったです」
「…あ、そ」
そっぽを向いたまま小さく呟く朝比奈先輩に、思わず笑ってしまった。