フテキな片想い
美雨@プロローグ・私の家族を紹介します!
「おはよう、美雨(みう)ちゃん」
「おはよう、玲央(れお)さん」
食卓のプレートには、ハムの入ったスクランブルエッグに、赤と黄色のミニトマトが入ったサラダ。
マグカップにはホットミルク。
ミネストローネをスープ皿によそいながら、爽やかな微笑みで玲央さんが、振り向いた。
「もうちょっとで、トーストが焼けるから、真央(まお)を起こして来てくれるかな?」
「はーい」
私は制服のジャケットを、椅子の背もたれに掛けると、腕まくりをして、玄関に向かった。
私の弟、真央の部屋は玄関を出て右、石畳みを渡った先にある。
一見、大きな物置きのように見えるそれが、真央の離れ部屋だった。
アッシュ系のブルーの外壁に、金のドアノブのついた煤けた木の扉を、コンコンコココンとリズミカルに叩く。
中からの反応無し。
いつも通りの朝だ。
「真央ー、入るよー」