フテキな片想い


真央は中途半端な返事をした。


私はビニール袋を手に取ると、中を確認した。


「あぁ、新商品の大福ショートケーキだぁ。嘘、どこ探しても売り切れのレア品なのに、何で真央が持ってるの?」


「まぁ、コンビニで売ってたから」


「えっ?うちの近くのコンビニ?私が行くとこはいつも売り切れなのにー。ありがとう、真央。芽衣子(めいこ)も食べたがってたから、学校着いたら一緒に食べるね」


「朝から食うのかよ……」


「え?ダメ?」


「別に」とぼそりと呟きながら、真央と並んで歩き出した。


大福ショートケーキは、苺のショートケーキをお餅で包んだコンビニスイーツの新商品で、一度で和と洋が味わえて美味しいと、巷で有名だ。


どこに行っても売り切れでないのに、まさか家近のコンビニにあったとは……灯台下暗し。


今度からここに買いに来ようと、コンビニを通り過ぎながら、決心した。


「それよりさ、機嫌、直った?」


不意に真央に訊ねられ、「え?何か私、怒ってたっけ?」と思わず聞き返して、気付いた。



< 10 / 274 >

この作品をシェア

pagetop