フテキな片想い
「おぉ、反って来た。すげぇ」
「何か生きてるみたいだね」
オーブントースターの中で、ふにゃふにゃになりながら、縮んで行くプラスティックを二人で眺めている。
「限界値まで来たみたいだ。真央、雑誌開いて」
星夜に言われた通りに、雑誌を捲る。
分厚い漫画雑誌の真ん中位のページを開くと、星夜がこれ以上縮まなくなったプラスティックの板を、器用に並べた。
「さ、素早く、押えて!力入れ過ぎないでね。割れるから!」
星夜に急かされ、雑誌を閉じると、上から軽く押さえつけた。
雑誌の上から押えつけることで、反ったプラスティックの板を真っ直ぐに補正するらしい。
「そろそろいいんじゃない?」の問いに、雑誌を開く。
初めに切り抜いたプラスティックの板の、約四分の一位の大きさになった完成品が、現れた。
「おぉ、イイ感じだね。なかなか完成度高いよ」
星夜が完成品を手に取り、満足そうに頷いた。
「マオニャン 目つき悪い族 出席番号十五番。カワイイな、これ」
星夜が掲げる五百円玉くらいの大きさのそれには、目つきの悪い猫の絵が描かれていた。