フテキな片想い
真央@男子高校生的日常
「真央、おはよー」
教室に入るなり、廊下側、一番後ろの席の、遠野星夜(とおのせいや)がこちらに向かって手を振っている。
「はよ」と短く返すと、「いつもだけど、素気ないなぁ」と、星夜は苦笑いを浮かべた。
星夜の前である自分の席に着き、背負っていたリュックを机の脇のフックに掛けた。
「大福ショートケーキはゲット出来た?」
星夜が続けて、後ろから声を掛ける。
「あぁ、まぁな」
カバンの中の物を取り出しながら、そう答える。
「でも、びっくりした。朝から真央から電話?と思ったら、コンビニのスイーツの入荷の時間帯っていつ?とか聞くから」
朝から美雨の機嫌をそこねてしまったから、アイツが食べたいと言ってたスイーツを買ってあげれば、喜ぶかと思って、ふと思い立って星夜に電話をかけてみた。
たまたま星夜が俺の家の近くのコンビニで、バイトをしていたからだ。
それが星夜と仲良くなるきっかけでもあったのだけれど。
本来ならバイトの募集要項が十八歳以上であるコンビニで、高一の星夜はなぜかバイトをしていた。