フテキな片想い
美雨@Unhappy birthday
「美雨、お誕生日おめでとう♪」
四時限目の授業が終わると共に、芽衣子が物凄い勢いで教室を出て行ったと思ったら、小振りなホールケーキを持って現れた。
お弁当の時間だと、机を移動させていたクラスメイトが、芽衣子が持って来たケーキを見て、ハッピーバースデーの歌を合唱してくれた。
突然の光景にただただ驚き、お弁当を持ったまま、呆然と立ち尽くしていた。
「火が無いから、ロウソクを吹き消す真似をしてくれたら、嬉しいな」と、芽衣子は私の目の前に立つと、ケーキの真ん中に立てられた「16」の数字型のロウソクを指差した。
ふぅ~と息を吐いて、ロウソクの火を吹き消すジェスチャーをした。
「おめでとう!スイート・シックスティーン!イエーイ!」
芽衣子からケーキを受け取ると、クラス中からパチパチと拍手が湧き、芽衣子の後ろから飛び出て現れた友達が、パーティー帽をかぶせてくれ、「本日の主役」と描かれた襷を首から掛けてくれた。
「さ、笑顔、笑顔」と芽衣子は撮影体勢に入り、携帯を掲げる。