フテキな片想い


そう穏やかに笑いながら話す星夜を見て、何ていい奴なんだ、コイツとなら仲良くなれるかもって思った。


のんびりとした話し方も、怒ったことがないんじゃないか?って疑うくらいに笑みの絶えない表情も、お兄に似てると思ったからだ。


お兄に似てる。


だから親近感が持てる。


「遠野」「児玉くん」と初めはお互いの苗字で呼び合ってたのに、いつの間にか名前で呼び合うようになった。


お互いの家を行き来し、気付いたら、いつも一緒に行動してる。


俺が施設の出身でも、お兄が年上の、俺と同い年の娘がいる女の人と付き合ってても、一緒に住んでいても、「なんか真央ってドラマのような人生を送ってるよね、齢十六にして、凄いよね」とのほほんとした口調で感想を述べただけだ。


今までは、施設出身だって知られるだけで、かわいそうな子のレッテルを貼られてたというのに。


その答えに拍子抜けし、思わず笑ってしまった。


「何がオカシイの?」


俺が突然笑い出した意味が解らず、不思議そうな顔をして俺を覗き込む星夜に、口元を押えながら、「いや、そういう風に軽く流されたの初めてだから、何かウケた」と答えた。



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