フテキな片想い
「親いないとか聞くと、急に憐れんだ目で見て来る奴らが多くて、俺、別に親いなくても平気だしって、ずっと思ってて。正直、ちょっと壁作ってた。色眼鏡で見られるのが嫌で」
元々、釣り目だから、喋らないでいたら、不機嫌そうな顔に見えるらしい。
怖い奴だと思われ、中学校のクラスメイトから話掛けられる事は少なかった。
逆に、教師に反抗的な生徒には一目置かれた。
彼らには、みんなが言う「俺の不幸な生い立ち」は美学に映るらしい。
教室で1人きりでぽつんとしているのを、担任にチクられた日には、お兄に「友達はいるのか?」とか「いつも1人でいるって苛められてるのか?親がいないせいで?」とか心配されそうで嫌だった。
だから、俺の周りに集まってくる彼らと、グループになり、彼らの好きな音楽を聴き、好きなブランドの服を着、彼らのように眉を整え、髪を染め、制服を着崩したりして、輪を乱さないようにしてた。
それぞれ進学先は違っても、たまに彼らとも連絡をし合い、会ったりもするけれど、やっぱり、どこか居心地の悪さを感じてしまう。
それが、星夜にはなかった。
「何でよ、親がいなかろうと、お兄さんが恋人と同棲始めようが、知らない同い年の子と住むことになっても、真央は真央じゃん?僕はさ、真央だから、友達になったんだよ」
そう言われたのが凄く嬉しかった。