フテキな片想い


「最悪な誕生日にしてごめん……」


やっと聞き取れるような微かな声で、呟いた。


そして、扉は閉じた。


呆然としたまま、その場に座り込んでいた。


「美雨が好きだ」


真央の言葉が耳の奥で繰り返す。


「女として」「好き」「家族だって思えない」


出て行ってしまった真央を追いかけたかったのに、足が動かなかった。


真央の泣き顔を初めて見た。


心の奥がズキズキ痛むのは、真央が泣いていたせい?それとも、真央の告白にショックな私がいるからだろうか?


真央が私を好きだなんて、知らなかった。


私が玲央さんを好きだったって、真央は知ってたから。



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