フテキな片想い
けれど、素直な気持ちを言葉に出来ない俺は、「ありがとう」と言えなかった。
「それにさ、僕の叔父さんの人生だって、壮絶なもんだよ。バツ2だし、何回か事業にも失敗してるしさ、そう思えば、万馬券当てて大金を手にしたり。真面目にコツコツ働く父さんと同じ血が通ってるとは思えない程だよ。そんな破天荒な人だから、「星夜もこっちに来るのか?兄貴とまとめて面倒みてやらぁ」なんて言ってくれたんだけどさ」
星夜は叔父さんを思い出したのか、フフフと笑いを漏らした。
彼の破天荒な叔父さんにいつかは会ってみたいものだが、オーナーの彼が店に顔を出すのは稀だという。
それに、今、何をしているのか星夜もよく解っていないのが、正直な所だ。
「何かさ、真央ってその同い年の同居人の事になると、必死になるよね。お兄さんの恋人の娘、ミワちゃんだっけ?」
不意に投げ掛けられた質問に、思わず後ろを振り向いた。
「……ミワじゃない、美雨だ」
「そうそう、そのミウちゃん。ねぇ、いつになったら会わせてくれるの?真央んち泊まりに行っても、「二階には行くな!」「夜十時以降は、俺の部屋から出るな!」って注文多いし、肝心のミウちゃんにまだ会えずじまいなんだけど」