フテキな片想い
その日のロングホームルームは、十一月に行われる文化祭の催し物についての話合いだった。
一般向けに公開される文化祭は、近隣に住む方も楽しみにしているらしく、夏休みを過ぎる頃には毎年、美術部有志による文化祭のポスターが商店街の至る所に貼られるらしい。
今年も既に、「坂下高校 男祭り」と筋骨隆々な男達が神輿を担いでいる浮世絵風のポスターが、掲示板に張られていた。
なぜその絵が採用されたのは謎だが、それらはその内、商店街に拡散されるのであろう。
「何で一年の催し物が研究発表なんだよー。マジ、やる気出ねぇわー」
そう言って、担任からの説明の後に、文句を言うのは、クラスの核であるグループに属する井岡(いおか)だった。
「普通カフェとかじゃねぇーの?ぜってぇ、人来ねぇよ。女子と絡むきっかけねぇじゃん。だりー」
井岡とつるんでる奴らからも野次が飛ぶ。
担任は、「文句を言うんじゃない。学級委員、後は頼んだぞ」と気の弱い、見るからに頼りなさそうな学級委員に、まる投げした。
「この学校の決まりらしいよ」
後ろからぼそりと星夜の呟く声が聞こえ、振り返った。