フテキな片想い
「何が?」
「一年は文化祭で研究発表をするっていうの。逆に二年からは好きな風に出来る。兄さんのクラスはお化け屋敷をやるんだって」
兄さん?あぁ、星夜には一つ年上の兄がいたんだった。
星夜の家に遊びに行った時に、何回か顔を合わせたことがあるが、挨拶程度しか話したことはなかった。
華奢で、中性的で、見るからに真面目が制服を着たような弟と違って、兄の方は茶髪にパーマで、サイドを剃り込んだ髪型のチャラ男だった。
人のことは言えないが両耳にたくさんのピアスを付け、面と向かうこっちが頭が痛くなる程に、香水を吹きかけている。
爽やかな弟と比べて、兄はいつもヘラヘラとした笑みを浮かべていて、調子が良さそうな雰囲気があった。
外見だけでいうと、児玉家と逆?
先入観だけで決めつけてはいけないと思いつつも、星夜の兄に対して、苦手意識があるのは事実だ。
兄を慕っているのであろう星夜には、とても言えはしないけど。
「で、星夜の兄さんは去年、何を発表したの?去年は一年で、研究発表をしたんだろう?」
「うん。兄さんたちのクラスは商店街の歴史について調べたらしいよ。店舗の移り変わりとか、街の様子とか表にしてた。去年は僕、わざわざ観に来たんだよ。連休で観光を兼ねて、島から両親と出て来たんだ。兄さんのクラスのお客さんは、閑散としたものだったよ」