フテキな片想い
「戦闘態勢って芽衣子、バイト先のパティシエさんに恋してたんじゃないの?」
「してるよ。あれはあれ、これはこれなのっ!男子校だよ?児玉くんレベルのダンスィ~(男子)がゴロゴロいるかもしれないでしょ?目の保養!しかも、イケメンにはなるべくかわいく見られたいっていうオトメゴコロがあるの~」
ほうほう、左様ですか。
相変わらず芽衣子のパワーは素晴らしい。
「坂女の制服で五割増しですからっ!」
「何調べなの?その情報」
「5」と手を目一杯広げて、アピールをする芽衣子に、つばさんは呆れて笑っている。
駅から続く裏通り商店街を抜けた先に、坂下高校が建っている。
流石にこの界隈で有名な男子校なだけあって、一般の来客者は多いみたいだ。
建物に吸い込まれるように、人が集まっている。
紙のお花が散りばめられた文化祭のアーチをくぐると、一畳程の大きさのベニヤ板に各クラスの出し物の宣伝が連なっている。
坂高の制服を着た、「案内係」と腕章のついた生徒から、構内の地図を貰い、一通り眺める。