フテキな片想い


「大丈夫です」


ぎこちない笑みを浮かべながら、きっぱりと断る。


この人、しつこいなぁ。早くどっか行ってくれないかなぁと正直な所思う。


「もうすぐ文化祭の準備が始まるからさ、そうすると俺、美雨ちゃんに逢いに来れなくなっちゃうんだよ。だからさ、せめて、メルアド教えてくんない?LINEでもいいよ」


何であなたに私のメルアドを教えないといけないんですか?


大袈裟に溜息を吐いて、歩き出す。無視をする事に決めた。


「その制服って、坂女だよね?教えてくれないんなら、明日の放課後、坂女の校門の前で、「中瀬美雨ちゃんを知りませんか?」ってプレート持って立っちゃうよ。美雨ちゃんが来るまで」


「なっ!?」


思わず振り返ると、いつものようににっこりと笑った彼がいた。


既に右手には携帯を持ち、待ち受けにはLINEのQRコードが表示されていた。


そうやって、いつもこんな風に強引に、女の子の連絡先を訊き出すの?呆れる。


「私、あなたが誰かも知らないのに、たやすく連絡先を教えられません」


「意外にガードが堅いね。いいね、さすが坂女。萌える」


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