フテキな片想い


そんな二人の生活に、俺は邪魔な存在だ。


俺がいなければ、愛し合う二人はすぐに結婚出来る。


俺がいなければ____だから、高校を卒業したら家を出て、大学は行きたいけど、お兄に負担は掛けたくないから、奨学金とか?でも、成績、そんなに良くねぇし。


進学無理だったら、就職して、大検取るのに深夜学級とか?


考えれば、考える程、深みに嵌る。


将来の夢なんて、ガキの頃からない。


ただ、一人になりたい。お荷物(俺)からお兄を開放してあげたい。


俺は一人になりたいのに。


「真央」


暗闇の奥に、ほのかに差し込む光が見える。


「真央」


俺を呼んでるのは誰だ?


光の先に影が見えた。


振り返り、イタズラな笑顔を魅せる。


口角の下辺りにくぼみが出来、形のいい唇から、白い歯が光る。


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