フテキな片想い
ママに愚痴った私が馬鹿だった。
トーストをもくもくと齧りながら、そう思った。
「美雨に会って貰いたい人がいるの」
ママからそう告げられたのは、中学校の卒業式の後だった。
今からもう半月以上前になる。
料理がおいしいと評判のレストランで、ママに恋人と紹介された相手、玲央さんは、ママよりも17歳年下の爽やかな青年だった。
私の知らない所で、2人が愛を育み、私の了解も得ずに、「一緒に住むことにした」と中古の一軒家を購入した。
そんなママの勝手過ぎる行動に反発していた私も、今じゃすっかりこのフシギな家族関係を受け入れてしまっている。
慣れればなんてことない。
私にはどんな環境に置いても馴染むことの出来る適応性があるのだと、この生活を始めて解った。
ママは女手一つで私を育ててくれた。
実家にも頼らず、大手家具メーカーで役職に就いてバリバリ仕事をして、今では独立してインポート家具店のオーナーだ。
買い付けに海外に飛ぶ事もしばしばで、ママが若い男の人と付き合っていたなんて夢にも思わなかった。