フテキな片想い


缶の縁をじっと見つめる。


美雨は、空いたホームのベンチに腰を下ろすと、携帯をチェックし始めた。


家族だから、そこに特別な意味はないんだろう?


ちょっと、飲みたかったから、貰っただけ?


こんな事で、動揺している俺はバカだ。


場内アナウンスが、電車がやって来るのを伝えている。


俺は、親指で、美雨が口を付けた辺りを拭うと、缶の残りを一気に飲み干した。





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