フテキな片想い


結局、業者を呼ぶ事にし、修理を頼んだ週末までの間、兄弟は2階の浴室を使う事になったのだ。


それで、私が大切に使っていた限定品のシャンプーを真央が勝手に使っていたのが、真央の髪の匂いから発覚し、朝から怒っているというわけなのだ。



「行って来ます」


「美雨ちゃん、はい、お弁当。いってらっしゃい」


「いつもありがとう」


玄関先で、ピンクの小さなトートバッグを受け取る。


玲央さんの手作りのお弁当だ。


玲央さんは毎日、私たちのために美味しいご飯を作ってくれる。


仕事はバリバリ出来るのに、家に帰った途端、ぐうたらになるママは、家事を一切しない。


料理も掃除もゴミ出しも(洗濯は私の仕事だけど)、みんな玲央さんが積極的に行っている。


ママの足りない部分を全て補う、スーパー主夫の玲央さんは、本当に凄いと思う。


「玲央さんも働いているのに、家事大変だったら、私も手伝うよ」


いつか玲央さんにそう言った事があった。



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