フテキな片想い
ベッドの上に腰を下ろし、星夜と対峙した。
星夜はきょとんとした表情の後で、「まさか。友達の好きな子を、僕が好きになる事はないよ」と笑った。
「でも」
星夜は急に真面目な顔をして、僕を見つめた。
「正直な所、美雨ちゃんが真央に恋愛感情があるかは、難しい所だね」
それは、自分でも解ってる。
美雨にはずっと好きな人がいたからだ。
しかもその相手は、俺のお兄。
母親が好きな人の恋人という最悪な形での失恋の末、今は立ち直ったと、美雨は言っているけれど、それが本心なのかは解らない。
「このままでいいんだよ。俺が、想いを口に出さなければ、この家は平和なんだ。美雨の近くで、美雨を見守っていられればいいんだ」
きっと今、美雨の一番近くにいる男は間違いなく俺だろう。
その距離を、友達のような家族のような、美雨が何でも俺に相談してくれる、今の環境を壊したくない。
「本当にこのままでいいの?脅すつもりじゃないけれど、美雨ちゃんの事を好きだっていう男が現れたらどうするの?女子高だからって安心してられないと思うけど。魅力的な子だし……」
そう言い切った所で、星夜ははっとした表情になった。