フテキな片想い
「いいんだよ。洗濯して貰ってるだけでも十分、助かってるんだから。美雨ちゃんこそ、もっとワガママ言ってくれてもいいんだよ。それに、家事をするのは楽しいんだよ。家族のために料理をするのも嬉しいし」
彼は笑いながら、そう答えた。
ママにはもったいない位のいい男だと泣きそうになった。
玄関を出て、階段を降りる。
私の家は通りに面した一階がガレージになっていて、その脇の階段を上った先に玄関がある。
ちなみにガレージの上が、真央の離れ部屋だ。
門扉の前でこちらを見上げてる真央と目が合った。
ムッとした顔をして、まだ怒ってます!をアピールする。
話しかけようとする真央を無視して、通りに出た。
真央はやれやれと溜息を吐く。
「美雨」
後ろから声を掛けらて、思わず立ち止まる。
「いい加減、機嫌直せって」
そう言って、頭の上からコンビニのビニール袋を差し出す。
「何?くれるの?」
「まぁな」