閉じたまぶたの裏側で
男友達の裏の顔
金曜日。
仕事を定時で終えた私は、休憩スペースでコーヒーを飲みながら應汰を待っていた。
すぐ終わるから少しだけ待ってて、というメッセージを受け取ってから、既に30分が過ぎている。
應汰め。
待たされた分、今日は思いっきり飲んでやる。
「こんな所で何やってるんだ。」
コーヒーを片手に勲が隣に立った。
「仕事終わったんだろ?」
「友達と約束があるんです。」
「……男?」
──まただよ。
「主任、それセクハラです。」
コーヒーを飲み干して、潰したカップをゴミ箱に投げ込んだ。
「セクハラって…。」
「仕事の後まで上司に干渉されたくないので、失礼します。」
勲に背を向けて歩き出すと、後ろでため息が聞こえた。
会社の外で待ってると應汰にメッセージを送ろうと思いながらエレベーターを待っていると、降りてきたエレベーターのドアが開き、ちょうど中に乗っていた應汰が手をあげた。
「おう、お待たせ。」
「あ、降りなくていい。そのまま行こう。」
タイミング悪い。
應汰と約束してるってバレただろうな。
私と應汰はただの友達だけど、仮に付き合っていたとしても文句を言われる筋合いはない。
つまらない嫉妬なんかしないで。
たまに男友達と一緒に飲みに行くくらい、どうって事ないでしょ?
あなたと違って、私は独身なんだから。